post-vintage2024「不在」展 3dcg映像作品
"ブラウン管テレビの中の彼女と呼吸する衣服のモデリング"
「不在」展に寄せて
大原 奈緒子
(rhythm.war*p/post-vintage)
呼吸する衣服が作りたい。
呼吸する衣服が生み出されることによってもたらされる社会的変化はなんだろう。
このアイデアと問いを具現化する試みが本展のきっかけです。
昨年11月にCLO(※1)というソフトに出会い、このソフトでまずは呼吸する衣服をモデリングしてみようと思いました。とは言っても何かを作るに当たり、どうやら私は追い込まれないと動けない質なようで(夏休みの宿題は最終日にするタイプ)、ソフトの無料体験期間中に仕上げるという課題を設定し、以前よりイベントの話が上がっていたNO AGEさんへ近日中に展覧会がしたいと申し入れました。
全く初めて扱うソフト。モデリング初心者の私はPCに強いわけでもなく、残念ながら知識もなくデザイナーでもない。そのため過去の素晴らしいデザイン(土偶)を拝借し、藻類を扱った酸素を生み出す衣服を火星へ行く彼女の装いとして落とし込みました。
余談ですが遮光器土偶のデザインを模していくと、左右対称の緻密な表現や曲線美などに縄文デザイナーの拘りと技術力を再発見します。更に土偶のコードからは自然物を感じる、そんな追体験がありました。
CLOは独学で進めていったので荒削りなパターンとなりました。もっと学べば効率や効果的な方法があるのだろうと思います。そんな中でもひと月で仕上げることが出来たのは確固たるビジョンがあったからでしょう。
タイトル「不在」は言葉そのままに、その場に居ないことを示します。これは私が古着に感じている生命的な"何か"(※2)を表す要素として用いました。
「不在」展は架空の"彼女"の不在によって、過去、未来、現代をワープします。過去のインテリアと現代をパイプするNO AGE空間を通して、"この場には居ない、けど居る..."を物語ります。
過去、未来、現代が混在する時空間のなかで、私たちのライフスタイルに藻類がより身近にあるかもしれない未来を本展覧会で想像します。
※1.アパレルに特化した3Dソフト。作品に用いることは事前に了承済み。
※2.古着屋rhythm.war*pを主宰する大原奈緒子のアートプロジェクトpost-vintage.ゴミになっても再生する古着に生命的な"何か"を感じ取り、そこに宿る生命的なエネルギーを探求している。